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VirtualBox 4.1.4 r74291・VirtualBox 4.1 についてWindows ホスト環境での VirtualBox 4.1 における最大の目玉といえそうなのは WDDM 版ドライバーと Aero への対応化です。 今回ついに Aero への対応化が行われました。 が, 試験実装ということもあって現行バージョンでは まだまだ不安定で Direct3D 対応ソフトとの共存も不完全なものとなっています。 VirtualBox は昔からテクスチャーの作成時すらデッドロックに陥ったりしていますので, その辺りが直らない限り Aero (WDDM 版ドライバー。) は使い物にならないと個人的に思っています。 ある意味 Aero は「常にテクスチャー作成しまくり」なのですから。 それと, 元々 VirtualBox は GPU への要求スペックが高めですので, Aero を「まともに」使用したいなら, 最新クラスの GPU が必要となることでしょう。 (上述の不具合が発生しないとしての話。) ちなみに, linux ホスト環境の場合は, 何といっても PCI パススルーが最大の目玉だと思います。 対応ハードを手に入れたら是非とも試してみたいところです。 [Aug.18,2011:追記]15 日に 4.1.2 r73507 が登場しましたが, 自身の環境に関係する修正項目は存在しませんでした。 さらに, dynabook Qosmio T851/D8CR ホストでも GPU 方面のデッドロックが発生しました。 どうやらホスト側の能力は関係ないようです。 ・ホスト環境等メイン環境である Satellite WXW/78DW です。 4 つの PC エミュレーターが犇めく状態となっていて, 「いいかげん大丈夫じゃない」という気がしないでもないのですが, 今のところは何の問題もなく使用できています。 あ, もちろん「ホストを含めて何かと重くなる」点だけは避けようがありませんので, 念のため。 仮想環境用のデバイスが あれこれ登録されますので。 VirtualBox は頻繁にバージョンアップが行われますが, 4.1.x といったマイナーバージョンの改版についてはバグフィックスのみ行われるのが基本なので, 自身がバグに遭遇していないのであれば急いで適用する必要は ありません。 もちろん, セキュリティ絡みの修正が含まれているのであれば, 早期の適用を求められるわけですけれど。 それに対して, 4.x といった改版も他のソフトに比べて早いペースで行われます。 こちらは機能追加等も含まれるもので比較的大きな変化を伴いますから, 適用は慎重に行ったほうが良いかもしれません。 が, VirtualBox の場合, 4.0 で実装された機能についても最終的には 4.x で対応する (といいますか実用可能なレベルに達する。) といった傾向が見られますので, いずれは適用することになると思います。 VirtualBox は, 特に描画方面においてホストの返すデーターの精査を伴わずに そのままゲスト (のデバイス) が返すデーターとして使ってしまう嫌いがあります。 そのため, ホスト環境の僅かな変化が大きく影響してしまう傾向が強くなっています。 ある時点で比較的上手く動作しているのであれば, VirtualBox 自体は元より, 極力ホスト環境の変化を避けるようにしたほうが良いでしょう。 ・ゲスト PC 環境VirtualBox 4.0 の段階でチップセットの ICH9 化が行われ, それに伴って「チップセットの ICH9 化」 「HDD デバイスの AHCI 接続」 「光学デバイスの ICH6 接続」 「サウンドデバイスでの HD Audio 化」を選択できるようになっています。 全体としては 4.1 になって より安定した感じを受けます。 が, WDDM 版ドライバーを使用する場合には注意が必要となります。 同じ構成のゲストであっても, 場合によって ICH9 (むしろ I/O APIC?) 化を行っていると, WDDM 版ドライバーを適用した際に, Aero のオン・オフにかかわらず頻繁にゲストがハングするようになります。 完全なハングではなく 1・2 分固まったあと何事もなかったのごとく動き出す…といった感じですね。 もしかしたら, 4.0 正式版で埋め込んだバグの影響が残っているのかもしれません。 なお, Windows 系 OS については「一旦 IO APIC が有効な状態でインストールされた OS においては, IO APIC の無効化は行えない」ので注意してください。 もし以前から IO APIC を有効化, 若しくは新規インストールした環境で不具合が出てしまった場合は, 再度 PIIX3 設定でゲストを新構築するしか無くなります。 一部のデバイスや機能については「Extension Packs」が必要になりますので, VirtualBox のインストール時に忘れず こちらもインストールしておきましょう。 わりと多くの方が利用していそうな USB 2.0 機能やリモート接続機能辺りで必要となります。 β2 の頃に新たに ICH9 設定で新構築した Windows 7 (x86) ゲストの構成を上げておきます。 名前は そのままに VirtualBox Guest Additions のドライバーへ更新されたデバイスが いくつか存在する点は VirtualBox 4.0 までと同じです: Parallels Desktop 6 for Mac ほど完璧ではありませんが, 比較的素直な構成となっています。 これくらい すっきりしていれば十分ですね。 ・ゲスト OS特に VirtualBox 4.0 以降で対応化を謳っている OS は有りません。 Windows 3.1 から Windows 7 まで幅広く対応しています。 個人的には, リストには載っていない NT 3.51 が動作してくれると有り難かったのですが, 無理のようです。 あとは…Linux や BSD, Solaris 辺りに対応していますので, 必要十分ですね。 VirtualBox Guest Additions のインストールをセーフモードで行う必要がある点は VirtualBox 3.2 と変わりありません。 この辺りが解消されない限り Direct3D の安定化は望めない気がします。 例外的に, WDDM 版ドライバーを使用する場合だけはセーフモードを必要としません。 VirtualBox 3.2.8 以降では Windows 7 や Vista のエクスペリエンス測定が行えなくなってしまいました。 VirtualBox 自体が落ちることは 4.0 以降ではありませんが, 動画のデコードテストに失敗してしまいます。 Windows 7/Vista では この計測結果がシステムの動作に影響しますから, 計測できないのは かなり重要な不具合のような気がします。 ただ, 4.1.0 では 4.0 と異なり多少ながら成功率は上がっているようです。 [Oct.5,2011:追記]先月半ばに Windows Developer Preview (Windows 8。) が公開されましたが, 少なくとも それより後に出た現行の VirtualBox 4.1.4 については, Windows 8 の実行が可能となっています。 VitrualBox Guest Additions の導入も可能ですので, 適用することで動作を軽くすることが可能です。 さすがに Direct3D 対応ソフトの実行は不可能です。 何しろ Windows 7 ゲスト辺りでも殆どのソフトが転けてしまうくらいですから, それ以上にシビアな Windows 8 で動作するはずもありません。 (^^;) なお, Windows 8 の実行には VT-x が必須となります。 VT-x がオフの場合はセットアップの起動すら行えません。 それはともかく, Windows 8 の雰囲気を確かめる程度の目的であれば, VirtualBox 4.1.4 は十分その役割を果たしてくれることでしょう。 ・描画周りVirtualBox 3.0 以降 DirectX 9.0c 相当の Direct3D 機能が実装されていますが, Experimental である点は 4.1.0 でも変わっていません。 それにもかかわらず, 今回 4.1.0 の目玉の一つとして WDDM 版ドライバーと Aero への対応化が行われました。 Direct3D すら まともでないのですから, 当然ながら Experimental 扱いです。 ただでさえ描画の重い VirtualBox ですから, もはや Aero の使用には最新 GPU が必要と思われます。 WDDM 方面の処理については従来の Direct3D の処理と別扱いで行っているらしく, たとえ Aero をオフにしたとしても XPDM 版とは全く異なる挙動を見せます。 正式版とはいえ「開発に手を着けたばかり」ですので, 基本的に Direct3D との共存は行えないと思ったほうが良いでしょう。 4.0 までで動作していた多数のソフトが WDDM 版では動作しませんし, 動作したとしても かなりのソフトが極端な描画速度の低下を招いています。 VMware Workstation 7.1 同様, 内部的には OpenGL が基本となっているため, OpenGL についても 2.1 に対応しています。 DirectX と異なり, OpenGL については極めて安定していて 4.0 よりも さらに速くなっています。 なので, GL Excess 辺りも さらに快適動作します: ただ, 4.0 までと異なり 4.1.0 では (ゲストの) リフレッシュレート設定に同期するようになっています。 なので, 設定が 60 ならベンチのフレームレートも 60 前後で推移します。 >描画速度が十分なので どのテストも 60 前後 (^^;; 不具合方面ですが, まず固定的に全画面表示をするようなソフトが全滅状態となっています: 『メギドベンチ』や『Diablo II』など, DirectX の版の新旧にかかわらず画面の初期化に失敗して黒抜き画面となってしまいます。 それらの多くが そのままハングしてしまいます。 ハングしないソフトの場合は, もしウインドウ表示へ変更することが可能であれば, 『タイムリープぶーとべんち』のように描画されるようになるのかもしれません。 さらに, 比較的 Direct3D への依存度が高いソフトでは正常描画されません: Aero 化に必要な DirectX 9.0ex が影響しているのか, 『ぐるみんベンチ』は DirectX 9.0 設定でしか動作せず その描画も完全に破綻しています。 『聖なるかな』も 3D 表示が正常に行われず, さらに自ターン開始時の自動ステータス表示の段階で VirtualBox 自体が一般保護エラーとなってしまいます。 『タイムリープぶーとべんち』や『らぶデス 2 ベンチマーク』は正常動作するものの描画速度が 1/10 程度に落ち込んでしまっています: 速度が低下するだけなら良かったのですが, テクスチャーの作成に伴う小ハングが頻繁に発生します。 『タイムリープぶーとべんち』については, XPDM 版使用時と異なり WDDM 版ドライバーでは計測画面も正常に表示が行われます。 こういった比較的処理の重いソフト以外については, 不具合も発生せず描画速度も 4.0 より上がっています。 VirtualBox では DirectX (3D を含む。) について Wine のルーチンを使用して OpenGL 描画へ変換していますので, その変換時のオーバーヘッドが大きく影響しているのかもしれません。 VirtualBox ではゲスト PC の VRAM 容量を設定画面で指定できますが, Direct3D を使用するのであれば 128MB が基本となるでしょう。 ホストがそうであるように, 64MB では何かと足りないでしょうから。 さらに, 当然ではありますが Aero の有効化には 256MB 設定を行っておく必要があります。 ホスト側の要件自体は VMware Workstation 6 以降と同じで, OpenGL 2.1 にハードウェアレベルで対応していれば大丈夫でしょう。 全体的な印象としては, VMware 6.0 相当の動作レベルであるところへ無理矢理 WDDM 版と Aero への対応化を行った…といった感じを受けます。 VirtualBox での Direct3D については 3.0 の頃からテクスチャーの作成時にデッドロックの発生する嫌いがあったのですが, それが 4.0…特に 4.0.2 で顕著化し 4.1 でも直っていません。 ソフトにもよりますが, 頻繁にデッドロックが発生しますので, 半分 Direct3D 自体が使い物にならなくなってしまっています。 >特に WDDM 版使用時 [Aug.18,2011:追記]dynabook Qosmio T851/D8CR ホストでも GPU 方面のデッドロック等が発生しました。 どうやらホスト側の能力は関係ないようです。 VirtualBox 側の改善を待つしかないですね。 ・サウンドIntel 82801AA AC'97 や SoundBlaster 16 の選択が可能となっています。 それに加えて VirtualBox 4.0 以降では, Windows 7 等で HD Audio が選択可能となっています。 環境に合わせてデバイスを選択すれば良いでしょう。 描画処理の関係で途切れたり遅延が発生したりすることは有りますが (これは描画処理の問題。), それ以外に不具合の発生することは有りません。 ・ネットワークこちらも, PCnet-PCI II (Am79C970A), PCnet-FAST III (Am79C973), Intel PRO/1000 MT Desktop (82540EM), Intel PRO/1000 T Server (82543GC), Intel PRO/1000 MT Server (82545EM) の中から選択することが出来ます。 用途等で選択することになるでしょう。 基本的に Intel PRO/1000 系を使うことになるかと思います。 ・HDDVMware Workstation 7.1 と同様に複数のスナップショットが作成可能となっています。 難点は, 差分ディスク側 (差分情報) の肥大化が激しいことと, スナップショットの削除時など, マスター HDD への情報反映に要する時間が非常に大きいことでしょうか? アクセス自体が特に遅いといったことは ありません。 「仮想ディスクの整合性や構造が すぐに壊れる」と良く言われる VirtualBox ですが, その点については 4.1 でも同じ印象を受けます。 しかも, 4.0 と異なり再び 3.x までと同様, マネージャーを使っての削除さえ行えない…という事態が発生するようになってしまいました。 ある意味これが 4.1 で最大の問題と言えるでしょう。 不具合が発生するのは「スナップショットの復元」時です。 復元処理の途中でゲストがアクセス不能表示となり, 場合によっては VirtualBox がエラー終了してしまうのです。 大抵は VirtualBox を再起動すれば復帰するのですが, 運が悪いと当該ゲストへ二度とアクセスできなくなってしまいます。 私は これで Windows XP と Windows 7 ゲストの 2 つをライセンスごと失いました。 (^^;; >MSDN な OS はともかく, 入れてあったソフト類 ゲストが飛ばなかったとしても, 復元しようとした箇所より後のスナップショット化していない差分についてはゴミ化してしまいますので, もし必要な差分だったとしても二度と使用することは出来ません。 復元する際は, 必ず最新状態のスナップショットを作成するようにしておきましょう。 4.1.0 では もう一つ大きな不具合があります。 それは「スナップショット化していない最新の差分が次のゲスト起動時に無視される」不具合です。 例えば次の処理を行ったとします:
通常, 4 の時点では 3 までの仮想ディスクへの書き込みが そのまま反映されるはずです。 そうでなければ困ります。 ところが, 4.1.0 では それらが反映されないのです。 要は 3 の際にリバートを行ったかのような結果となるわけです。 実際には仮想ディスクへの差分情報は書き込まれているのですが, あたかもフラグ指定でもしたかのように全ての情報が無視されるのです。 ちょっとした作業程度なら良いのかもしれませんが, これが OS や大型ソフトのインストール…しかも認証が絡んでいようものなら, 時間的にも資産的にも目も当てられません。 4.1.0 においては, ゲストの終了時に必ずスナップショットを撮るようにしましょう。 ・VirtualBox のインターフェイスVMware Workstation 7.1 での Unity モードに当たる VirtualBox のシームレス表示ですが, ゲスト PC のタスクバーが直接描画される仕様となっています。 賛否両論だと思いますが, 個人的には, 割り切っていて むしろ洗練された印象を受けます。 描画を含め速度が低くなることも ありません。 この画像では表示されていませんが, OS の機能を使って自動的に隠しているだけです。 [Jul.21,2011:追記]VirtualBox 3.1.0 以降のスナップショットでは, 1 つのゲスト PC について複数のスナップショットが保存でき, 世代管理や分岐が行えるようになっています。 世代管理を利用して新環境のテストを行ったり, 分岐等を行って一部のみ異なった環境での様々なテストを行ったり…といった用途に威力を発揮します。 ところが, HDD の項で書いたように VirtualBox 4.1.0 には仮想ディスク方面の重大バグが存在しますから, 基本的に分岐は お勧めできません。 また, ゲストを終了する際には必ずスナップショットを作成するようにしましょう。 このページでは以下の各社製品の画像素材を利用しています。 これらの素材は各社に帰属するものであり, 他への転載は禁止します。
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