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<公開:Jul.4,2009 最終更新:Oct.19,2010>

■ VirtualBox 3.2.10 r66523


[VirtualBox 3.2.4 r62467 のスナップ]

・ホスト環境等

 メイン環境である Satellite WXW/78DW です。 今回, 3 つめの PC エミュレーターということで, 「いいかげん大丈夫なのか?」という気がしないでもないですが, 今のところは何の問題もなく使用できています。

[Nov.24,2009:追記]

 VirtualBox は頻繁にバージョンアップが行われますが, 3.0.x といったマイナーバージョンの改版についてはバグフィックスのみ行われるのが基本なので, 自身がバグに遭遇していないのであれば急いで適用する必要は ありません。 もちろん, セキュリティ絡みの修正が含まれているのであれば, 早期の適用を求められるわけですけれど。

 それに対して, 3.x といった改版も他のソフトに比べて早いペースで行われます。 こちらは機能追加等も含まれるもので比較的大きな変化を伴いますから, 適用は慎重に行ったほうが良いかもしれません。 が, VirtualBox の場合, 3.0 で実装された機能についても最終的には 3.x で対応する (といいますか実用可能なレベルに達する。) といった傾向が見られますので, いずれは適用することになると思います。

[Jun.10,2010:追記]

 3.2.2 以降については, 1 週間に (3.2.2 を含めて) 4 度も改版するなど迷走していますので, 自身の環境で問題が発生していないのであれば, たとえ最新版を追いかけるための環境であっても, 落ち着くまでインストールしないほうが良いと思います。

 それとは別に, いつの間にか相性問題が発生するようになったようで, VirtualBox 3.x をインストールすると, VMware Authorization Service が自動起動しなくなります。 一旦この状況に陥ると, 再起動するなどの手段は無効で VMware を再インストールしないと復旧できないようです。 再インストールすれば済む問題ではありますが, NIC が変わることにより再アクティベーションが発生し, あまつさえ累積加点で使用不可能となるソフトが出たりしますので, 注意が必要となります。 (週末に, それで Corel PaintShop Photo Pro X2 が死亡しました。 月曜まで待って電話するのが面倒でしたので, これを機会と X3 に買い換えました。 (笑))

[Aug.16,2010:追記]

 VirtualBox は, 特に描画方面において, ホストの返すデーターの精査を伴わずに そのままゲスト (のデバイス) が返すデーターとして使ってしまう嫌いがあります。 そのため, ホスト環境の僅かな変化が大きく影響してしまう傾向が強くなっています。

ある時点で比較的上手く動作しているのであれば, VirtualBox 自体は元より, 極力ホスト環境の変化を避けるようにしたほうが良いでしょう。

・ゲスト PC 環境

 VirtualBox 3.0 では NIC やサウンドアダプターについて, エミュレートするデバイスを選択することが可能となっています。 今回は NIC については PCnet-FAST III (Am79C973) を, オーディオについては Intel 82801AA AC'97 を選択しています。 ホストの LAN 環境が もっと速ければ NIC は Intel PRO/1000 MT Desktop 辺りを選択していたことでしょう。 反対に, 互換性が問題となるようなソフトが存在するようなら, オーディオは SoundBlaster 16 を選択することになるでしょう。

 新規インストールした Windows XP MCE 2005 (x86) の構成を上げておきます。 非常にスッキリした印象を受けますが, Windows Virtual PC と同様に, 名前は そのままに Sun VirtualBox Guest Additions のドライバーへ更新されたデバイスが いくつか存在します。 余談ですが, 32 個までの仮想 CPU を設定できるわりにユニプロセッサマシンとして構成されていない辺りに少々不安を感じます:

[デバイスリスト]

[Nov.24,2009:追記]

 物理的な数に関係なくコア数を指定できたりする点が関係しているのか, ゲスト側での CPU 認識が行われないようになっています。 Intel 以外の CPU を使用している場合, ソフトによっては その辺りが影響するかもしれません。

・ゲスト OS

 Windows 3.1 から Windows 7 まで幅広く対応しています。 個人的には, リストには載っていない NT 3.51 が動作してくれると有り難いです。 あとは…Linux や BSD, Solaris 辺りに対応していますので, 必要十分ですね。 もっとも, まだ Windows XP しか試していませんけれど。

[Aug.7,2009:部分改変]

 Sun VirtualBox Guest Additions のインストールについてはセーフモードで行う必要がある…と言った記事を公式 Web や巷のサイト等で見かけるのですが, 普通に管理者アカウントでのインストールが可能でした。 とは言うものの, おとなしくセーフモードで行っておいたほうが良いでしょうね。 私自身も 3.0.2 以降についてはセーフモードで行っています。 (^^;)

[May.23,2010:追記]

 Ver 3.2 で目に付くのは Mac OS X ゲストへの試験対応でしょうか?  が, 一体それに何の意味があるのかしら?  そもそも Mac OS X の実行は Mac マシン上でしか行えないのですから, わざわざ別の OS 上から PC エミュレーターを介して実行しなくとも, そのままホストを使えば済む話です。 もちろん, 開発用途など, たとえ Mac マシンを使っていたとしても Windows など他 OS ホストをメインとせざるを得ないケースは皆無ではないでしょうけれど。

[Aug.16,2010:追記]

 VirtualBox 3.2.8 では Windows 7 や Vista のエクスペリエンス測定すら出来なくなってしまいました。 比較的ありがちな描画方面ではなく, 動画のデコード方面で VirtualBox 自体が落ちてしまいます。 真っ当ではない方法 (ゲスト側の認識外。) でマルチコア対応を行っている辺りが影響していそうです。

・描画周り

[Feb.24,2010:改変]

[タイムリープぶーとべんち on VirtualBox 3.1.4]

 試験的ではありますが, VirtualBox 3.0 において, ピクセルシェーダー 2.0 に対応した DirectX 9.0c 相当の Direct3D 機能が実装され, 3.1 では さらに高速化が行われています。 が, 十分な能力をもったホストを想定していることから, T7500 + GeForce 8700M GT なノートパソコンごときは お呼びでないらしく, DirectX 8.1 や OpenGL 2.0 辺りが使用されている業務方面のソフトであっても実用は辛そうです。

また, ホスト環境に大きく左右される傾向にあるらしく, 例えば私の環境では 3DMark03 やメギドベンチが一般保護エラーで落ちてしまいます。 どうもテクスチャーの作成で転けている感じですね。

 VMware 同様, 内部的には OpenGL が基本となっているため, OpenGL についても 2.1 に対応しています。 DirectX については得手不得手のある印象を受ける VirtualBox ですが, OpenGL については VMware Workstation 7 よりも速い印象を受けます。 なので, GL Excess 辺りも VMware 以上に快適動作します:

[GL Excess on VirtualBox 3.1.4]

 ホスト環境の影響が激しい VirtualBox ですが, ホスト側の能力が比較的低いとタイマーのような基本的な部分にまで影響してしまうらしく, 私の環境では 3DMark2001 SE の計測が, 3 回に 2 回はタイマー周りのエラーで失敗してしまいます。 OpenGL Extensions Viewer でも .NET Framework の例外エラーが表示されたりしますので, まだまだ不安定な印象を受けます。

 対応している部分での不具合については, 例えば以下のようなものがあります:

[3DMark03 PS on VirtualBox 3.1.4] [3DMark2001 SE GT4 on VirtualBox 3.1.4]

まず左側画像の 3DMark03 PS 2.0 テストですが, 部分的にピクセルが黒抜きとなってしまっています。 VMware Workstation 6.5 がβ版の頃に, 部分的に透明となっていた (つまり描画されない。) 不具合と同じような感じですね。 右側画像の 3DMark2001 SE GT4 テストでも, 湖面の描画がおかしくなっていて, こちらも VMware で同様の不具合が発生していた経緯があります。 皆が通る道…ということなのかもしれません。

 VirtualBox ではゲスト PC の VRAM 容量を設定画面で指定できますが, Direct3D を使用するのであれば上限の 128MB が基本となるでしょう。 ホストがそうであるように, 64MB では何かと足りないでしょうから。

 似たような構造となっていることから, ホスト側の要件については VMware Workstation 6 以降と同じで, OpenGL 2.1 にハードウェアレベルで対応している必要があると思われます。

 全体的な印象としては, VMware 6.5 相当の機能となっているものの, 動作レベルとしては VMware 6.0 との中間程度…といった感じでしょうか?  今のところ描画が遅いものの, OpenGL については VMware 7.0 に負けていませんし, 相性の良いソフトでは VMware (の WDDM 版ドライバー) 以上の速度を弾き出しますので, ルーチンの調整・最適化が行われれば, VMware と遜色がないくらいには向上する気がします。

[May.23,2010:追記]

 描画方面については, まずは内部実装の基礎ともなっている OpenGL 方面から手が着けられているようで, DirectX 方面については その副産物で対応度が上がる…といった程度に留まっています。 VirtualBox 3.2 では, ちょうど VMware Workstation 5 から 5.5 へ上がったときと同じような感じで, DirectX 6.0 世代の Diablo II や Age of Empires II が動作するようになっています。

[Aug.16,2010:追記]

 私の使用している環境にとっては VirtualBox 3.2.8 は大ハズレのクチだったらしく, 描画速度が「当社比 1/8」に落ちてしまいました。 「タイムリープぶーとべんち」辺りでは 1/15 に落ち込んでいます…といいますか, もはやベンチになっていません。

Direct3D や OpenGL 方面については, 「ゲストとしての GPU」を確立しない限り, どこまで版が上がってもダメでしょうね。 ホストの返す値を そのまま使っている間は, 何を実装しても無意味です。 Compiz への対応だけは情熱を燃やしているようですけれど…。

・サウンド

 Intel 82801AA AC'97 と SoundBlaster 16 の選択が可能となっています。 特に必要なければ AC'97 で良さそうです。 再生は, 強いて言えば音が若干大きめ…といった程度で, 特に問題は見あたらず, 途切れ等も皆無で, VMware よりも滑らかと言えるかもしれません。

・ネットワーク

 こちらも, PCnet-PCI II (Am79C970A), PCnet-FAST III (Am79C973), Intel PRO/1000 MT Desktop (82540EM), Intel PRO/1000 T Server (82543GC), Intel PRO/1000 MT Server (82545EM) の中から選択することが出来ます。 用途等で選択することになるでしょう。 基本的に Intel PRO/1000 系を使うことになるかと思いますが, VirtualBox 3.0 は LAN 関係が死ぬほど遅いため, どれを選んでも苦痛が待っていると言え, これが大きなデメリットとなってしまっています。

[Aug.7,2009:追記]

 総じて遅い LAN 関係ですが, その中でも真のバグにより劇的に遅くなっていた NAT 方式については, そのバグが 3.0.4 で修正されたため, その他の方式を選択した場合と同等の速度に改善しています。

・HDD

 VMware と同様に複数のスナップショットが作成可能となっています。 難点は, 差分ディスク側 (差分情報) の肥大化が激しいことと, スナップショットの削除時など, マスター HDD への情報反映に要する時間が非常に大きいことでしょうか?  アクセス自体が特に遅いと言ったことは ありません。

・VirtualBox のインターフェイス

[シームレス表示]

 VMware での Unity モードに当たる VirtualBox のシームレス表示ですが, 右画像のようにゲスト PC のタスクバーが直接描画される仕様となっています。 賛否両論だと思いますが, 個人的には, 割り切っていて むしろ洗練された印象を受けます。 描画を含め速度が低くなることも ありません。

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