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<公開:Sep.11,2011 最終更新:Aug.2,2012>

■ Parallels Desktop 7 for Mac Build 15104


・ホスト環境等

 Mac 環境動作確認用の MacBook Air (Late 2010) です。 11" の Core 2 Duo U9400 1.4GHz, 64GB SSD ベースを選択し, メモリーの 4GB 化と iWork 及び SuperDrive の追加のみ行っています。 NVIDIA GeForce 320M の威力は このクラスとしては絶大ですが, それに対して CPU が少々, そして 1,366x768 ピクセルの解像度が激しく辛いところです, PC エミュレーターを使うには。 もっとも, その辺りを踏まえて使用していますので, 「大丈夫だ, 問題ない。」

 OS は Mac OS X v10.6.8 Snow Leopard からのアップグレードを行った OS X v10.7 Lion となっています。 「初物には手を出すな」のセオリーに反して上げてしまいましたが, 幸い何も問題は発生していません。 コア部分は BSD UNIX をベースとしたもので, 10.5 Leopard からは正式な UNIX として認定を受けています。 UNIX だけあって安定しているため, 化石 Mac のように爆弾マークを頻繁に目にするようなことは まず有り得ません。 余談ですが, PC に先行して 64 ビット化を果たすことになりました。

 こと手元の環境に限っては, MacBook Air 11" ということで上述したように解像度が低いことから, 基本的にはコヒーレンス表示で使うことになるでしょう。 あと, 64GB SSD という足枷もありますので, 使うのは Windows 7 ゲスト 1 つだけとなりそうです。 …それで十分ですけれど。 そういえば, Parallels Desktop 6 for Mac が意外と非力な環境でも動作していた事実に自信を持ったのか, PD7 では「Core 2 Duo 以上」と最低クロック (PD6 では 1.66GHz。) の必須設定が外されています。

 ハイパーバイザーの構築法が Windows ホスト用とは根本的に異なっているため, 異なる PC エミュレーターの同時並行動作や, 「仮想 PC の中で PC エミュレーターを実行」するようなことは出来ません。 エミュレーター側のチェックにより実行を拒否, 起動はするもののハング, といった現象が発生します。

[Aug.2,2012:追記]

 現地時間先月 25 日に最新の OS X Mountain Lion (10.8) が発売されましたので, 速攻で落としてアップグレードを行っています。 Mountain Lion に対応しているはずの Buile 15104 を使っていたのですが, 何故か「互換性がない」と排除・無効化されてしまったので, 再インストールしていたりします。 原因は不明ですが, アクセス権か何かが引っ掛かったのでしょうね。 一応アップグレード前を含めて都度アクセス権の修復は実行しているのですけれど…。 (^^;)  あ, そうそう。 Mountain Lion 環境には Build 15104 が必要になりますので, 必ず PD7 を最新の状態にしてから Mountain Lion へのアップグレードを行いましょう。

・ゲスト PC 環境

 Parallels Desktop 6 の段階で, VMware 等他のエミュレーターと比べて世代の新しい i965 のチップセットが実装されています。 8 コア CPU, 8GB メモリー, 2TB HDD…, といった辺りは こちらのほうが先行していて, VMware Workstation 7.1 辺りが ようやく追いついた…といった感じになっています。 ただ, その能力を活かしたゲスト PC を構築できるのかと問われると…手元の MacBook Air では無理ですね。 (^^;)

 PD6 の頃に新規インストールした Windows 7 Professional (x86) の構成を上げておきます。 VMware のように あれこれホストのデバイスを云々…といったものが存在しないことから, 素直な i965 マシンとしての構成となっていますが, PD6→PD7 化が影響したのか若干ごちゃごちゃとしたデバイスが増えています (SATA の ATA Channel 1 以降や汎用バス等。) :

[デバイスリスト]

HDD が SATA 接続になっていたり, グラフィックボードが PCI Express 接続になっていたりと, 数々の PC エミュレーターの中で一番実機に近い構成を実現していると言えそうです。

 PD7 では, ホストの Web カメラやプリンターが そのままゲスト側で使えたりするのですが, その辺りについては確かめていません。 そもそも Mac 用のプリンターを用意していませんし。 (^^;; >印刷は Win で行う

・ゲスト OS

 Windows NT 4.0 SP 6 以降の Windows NT 系 OS, Win9x, Win3.11, MS-DOS 6.22, Ubuntu 8.10~, RHEL 4/5, CentOS 4/5, Fedora 12/13, SUSE ES 10/11, SUSE D 11, OpenSUSE 11, Mandriva 2009/2010, Debian 5, Mac OS X 10.5~, Chrome OS, Open Solaris 2009.06, Solaris 10, FreeBSD 7/8, OS/2 Warp 4/4.5, eComStation 1.2 といった OS に対応しています。 殆どの OS では 64 ビット版も可能です。

Windows XP 以降, Ubuntu Linux 8.10 以降, Red Hat Enterprise Linux 5.x, Fedora Linux 12 以降の OS では, Express Installation を選択することで, 仮想マシンの作成から OS のインストールまでを, 最小の設定行程で一気に行うことが可能です。 日本国内では無理ですが, 米国内であれば直接 OS を購入することも可能です。

多くの OS に対応しては いますが, 全ての環境で Parallels Tools を使用できるわけではありませんので, 対応していない OS は実質使い物にならないかもしれません。

[Oct.8,2011:追記]

 先行して発売されたことが裏目に出て VMware Fusion 4.0 に先を越される形となった Windows Developer Preview への対応ですが, Parallels としても それでシェアを食われるわけには いかなかったのか, それだけに対応した Build 14924 が 5 日に公開されています。 それだけのためにマイナーアップデートを行っただけあって, 「単にインストールを行えるだけ」だった Build 14920 と異なり, 専用設定項目も用意され Parallels Tools の導入も可能と, Windows 7 等と殆ど変わらない対応度となっています。

上段左画像は Windows 8 のスタート画面です。 Windows 7 までで おなじみのスタートメニューは廃止され, スタートボタンを押すと Metro UI の この画面が表示されるようになりました。 タブレットなら良いのですが既存の PC では相当使い辛い印象を受けます。 残りの 3 つは Direct3D 対応ソフトを実行してみたものです。 今回の版は Parallels Tools の導入が可能であることから, Direct3D 対応ソフトも ちゃんと動作します。 もちろん, 「Windows Developer Preview であることによる制限」からは逃れられないことから, 日本語と OS の壁は依然として立ちはだかっています。

唯一の難点は Coherence モードが使えないことでしょうか? Windows 7 までのデスクトップやタスクバーとは根本的に別物となってしまっている Windows 8 なので, 対応し切れていないようです。

・描画周り

 Windows & Linux 版と異なり, Mac 版では早くから Direct3D への対応化が行われていて, 5.0 からは Windows Vista 以降での WDDM 版ドライバーと Aero にも対応しています。 Parallels Tools を導入しない場合は VESA 3.0 相当の SVGA 表示となりますが, 対応 OS であれば普通は導入することになるでしょう。 PD7 では高速化が行われていて, PD6 に対して最大 40% 程度描画が速くなっています。 ただし, 恩恵に浴するためには高スペックの GPU (+それ相応の CPU。) が必要となることでしょう。

Direct3D (DirectX 含む。) の動作を OpenGL 2.1 でエミュレートした上でホストに描かせている辺りは, 他の PC エミュレーターと同じです。 従ってホストはハードウェアレベルで OpenGL 2.1 に対応している必要があるわけですが, システム要件が Mac OS X v10.5.8 Leopard 若しくは 10.6.3 Snow Leopard 以降となっていることから, 放っておいても対応している…ということで, 特に言及はされていません。

 ゲスト側については Windows 2000 以降であれば DirectX 9.0c と OpenGL 2.1 に, Linux 系や Mac OS X であれば OpenGL 2.1 に対応しています。 が, こと Direct3D に関して言えば, 右上やトップの画像を見て頂くと判るとおり, 描画は完璧とは言えません。 エッジの色がおかしくなっていたり, 光源のエフェクトが左右の端だけ掛かっていなかったり しています。

速度は…印象としては かなり頑張っています。 Satellite WXW/78DW (Core 2 Duo 2.2GHz, GeForce 8700M GT) での『タイムリープぶーとべんち』のスコアが 47 なのに対して, このゲスト (コヒーレンス表示。) では 30 ですし。 が, 痩せても枯れても GeForce 320M ということで, GeForce 8700M GT との差は歴然としていますから, 直接の比較は無理でしょう。 ただ, Satellite の VMware Workstation 7.1 上で構築した Windows 7 環境よりは速いです。 (注:当該ベンチは VMware 7.x との相性が悪いので比較は無理。)

 ゲスト PC 環境の項で触れているように, Parallels Desktop 7 では仮想 GPU が PCI Express 接続のチップとして実装されています。 結果, 普通に AGP メモリーが使えるため, VMware 7.1 での擬似的なものとは異なり AGP メモリーも最大 1GB + 256MB の潤沢な VRAM 環境が整えられます。 メモリー量は意外と速度に影響しますので, この辺りも高速化に繋がっていると思われます。 が, それもホスト次第で, MacBook Air では VRAM 設定が 256MB でも 1GB でも速度に変化はありませんでした。 (^^;)

[Aug.2,2012:追記]

 実験目的以外でゲームをプレーするようなことは無いわけですが, 昨今では 3D ゲームでなくとも, もはや MacBook Air 11" (Late 2010) ホストでは実行が無理のようです;

[大図書館の羊飼いTGSP版on PD7]

画像は『TECH GIAN SUPER Prelude』に収録された『大図書館の羊飼い』ですが, 少しでも動きが出ると「固まったか?」と思えるほど描画が重くなってしまうのでした。 (^^;)

・サウンド

 Parallels Audio Controller として認識されます。 再生等には何ら問題は見あたらず途切れ等も皆無です。 入出力それぞれでホスト側のデバイスを指定できますので, MacBook Air では無理ですが, 入力を使い分ける…といった使用法は有るかもしれません。 PD7 では新たに 7.1 チャンネルのサラウンドに対応しましたので, ホストさえ対応していればゲスト側の音環境も向上させることが可能です。

・ネットワーク

 通常は Parallels Tools を適用することになると思いますが, 認識自体は Intel PRO/1000 MT Network Connection として行われています。 実装としては最適化されているわけですが, ゲストにとっては普通の 1.0 Gbs 対応デバイスと言えます。 IP アドレスの設定は本体のメニューから環境設定ダイアログを呼び出して行います。 何かあるとすればクラス A のプライベート IP アドレスが使われている点でしょうか?

・HDD

 VMware と同様に複数のスナップショットが作成可能となっていて分岐も行えます。 肥大化は VirtualBox 同様激しいようですので, こまめに整理したほうが良いでしょう。 この辺りは Windows 版と同様のようですが, こちらのほうが処理は速いようです。 タイムマシーンや Lion の自動保存には注意が必要かもしれません。 HDD 空き容量への浸食率が半端ではありませんので。 (^^;)

・Parallels Desktop 7 のインターフェイス

[Parallels Desktop 7でのMission Control]

 Lion より後に登場した Parallels Desktop 7 だけあって, Mission Control や Launchpad への対応度が上がり, Windows ゲスト上からも Mission Control や Launchpad の使用が可能となっています。 惜しむらくは対応に制限の掛かっている点でしょう。 Launchpad については ちょうど VMware Workstation 7.1 のダイレクトアイコンと同じで,「後からインストールしてホスト側のメニューへ登録されたアプリ」しか表示されません。 また, Mission Control についても, 個別選択は行えるものの 1 ゲストを一纏めとした MDI の扱いとなってしまっています。

もっとも, この辺りはコヒーレンス表示や Mission Control を多用する人以外は気にならないことでしょう。 それを除けば PD6 から大きく変わっている部分はありません。 ゲスト PC の環境設定画面やウイザード等あれこれと手は入っていますが, Mac OS/X の お作法に従った点が主で, 操作に戸惑ったり違和感を覚えたりすることは無いと思います。

なお, 右画像で『タイムリープぶーとべんち』のウインドウの一部が白抜けとなっていますが, これは丁度その位置に『LHMelting』と『穢翼のユースティア (体験版)』が表示されているからです。 ユースティアのほうが ちゃんと表示されているところを見ると, バグなのでしょう…。

 VMware での Unity モードに当たる Parallels Desktop 7 のコヒーレンス表示ですが, Windows XP ゲスト辺りですと VMware と そっくりなものとなるのですが, こと Windows 7 に限って言えば, ゲスト側のタスクバーが表示されることはありません。 恐らく Vista でも同じでしょう。

[ウインドウ表示] [スタートメニューフォルダー]
[コヒーレンス表示] [コヒーレンス表示2]

その辺りもあって, コヒーレンス表示には Crystal モードという機能が存在します。 この機能をオンにすると通知アイコンがホストのメニューバーへ表示されるようになります。 このモードではスタートメニューもメニューバーへ移り, その代わり Doch にはスタートメニューボタンが表示されなくなります。

表示モードにかかわらず, Doch 上にはゲスト用のスタートメニューフォルダーが作成され常駐します。 ここから実行した場合は必ずコヒーレンス表示となります。 VMware のダイレクトアイコンの 1 歩先を進んでいる…と言えそうです。 Crystal モードでは基本的に こちらを使ってソフトの起動を行うことになるでしょう。 VMware 辺りと異なり, コヒーレンスモードで描画が遅くなることは殆どありません。

 その他には PD6 の頃から存在する Modality モードと Mac OS/X スタイル適用の機能があります:

まず Modality モードですが, このモードを有効とすると左上画像のようにゲストを自由に好きなサイズで表示させることが出来るようになります。 あくまでも表示サイズが変わるだけでゲスト側デスクトップのサイズが変わるわけではありません。 WXGA なら WXGA のままです。 別のウインドウをアクティブにすると右上画像のように (通常は) 透過表示となり, そのままアクティブ化したウインドウ (この画像なら後ろに隠れたウインドウ。) の操作が行えます。 左下画像のようにサイズを小さくしても, 大きい場合と何ら変わることはありません。 もっとも, 当該ゲストの操作はし辛くなるかもしれませんけれど…。

ゲストを参照しながら何らかのドキュメントを作成したり, ゲストをガジェットのノリで BGM や BGV 代わりに表示させたりしたい場合に威力を発揮することでしょう。

 右下画面はトップの画像と同じものですが, Mac OS/X 風のスタイルを適用したところです。 コヒーレンスモードを より Mac と違和感の無いものとしたい場合に指定すると良いでしょう。 ただし, Windows 7 や Vista では雰囲気的に わりと悲しい結果を招きますので, それなりの頻度でウインドウ表示を使用する場合は お勧めしません。 (^^;;

[スナップショット]

 スナップショットについては, 複数ショットの保存による世代管理や分岐が行えるようになっています。 (この画像では分岐を行っていませんけれど。)  世代管理を利用して新環境のテストを行ったり, 分岐等を行って一部のみ異なった環境でのテストを行ったり…といった用途に使えます。

・Parallels Mobile

 Parallels Desktop 6 以降では iPad 2 や iPhone 4 から Windows ゲストをリモート操作するための Parallels Mobile が使用可能となっています。 PD7 では Windows ゲストのサウンドがフィードバックされるようになり, テキストのみではあるもののゲスト間でのカット・アンド・ペーストも行えるようになっています。 また, これまでは Parallels のサーバーを経由しての接続しか行えませんでしたが, この版からはホスト名や IP アドレスを指定しての直接接続が行えるようになり, ゲストだけではなく そのホストである Mac の操作も行えるようになりました。 多くのユーザーにとっては, この「Mac のリモート操作」が一番有り難いかもしれません。 (^^;)

右画像は iPad 2 上で Windows 7 ゲストを操作しているところです。 筐体が大きい分 iPhone 4 よりも操作しやすいのですが, 解像度が殆ど同じであることから情報量は意外にも変わりありません。 一番差が大きいのは仮想キーボードで気分は iPad アプリです。 (操作体系は全く異なるわけですが。 ^^;;)

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