中学 3 年の冬に買った計算機がきっかけで関数電卓にハマってしまった私ですが, その後ポケコンやパソコン, 電子手帳などといった派生組を生じさせつつ, 二昔前辺りまでは関数電卓自体にもずっとハマリ続けていました。 しかし, さすがに職場で一人 1 台 PC が支給されるようになると, 集計や反復計算には Excel 等スプレッドシートのほうが何かと便利というわけで, 関数電卓自体は使っても単なる四則演算の延長くらいでプログラミング機能は使わず…といった状況が普通となりました。
…といった背景での先月の話です。 比較的簡単なものの手計算で数をこなすには少々辛い…というわけで Excel を使って計算させたのですが, 小数第 4 位までの せいぜい有効桁数 7 桁で治まる計算にもかかわらず, 何をどうやってもセルへの計算式入力では まともに計算されない事態へ陥ってしまいました。 その元凶は INT() で, Excel の内部的数値表現ごときでは, 2 進数での小数表現が影響して, はっきり言って使い物にならないレベルで頻繁に計算間違いを起こしてしまうのです。
ちなみに この辺りは Excel に限った話ではなくて, 懐かしの Lotus 1-2-3 や Multiplan, 20/20 などでも同じです。 この中に限っていえば一番マシなのは 20/20 かしら? それは Windows (MS-DOS) 系以外の PC でも同じで, macOS の Numbers 辺りを使ったところで事態は何も変わりません。 もちろん linux 系の OS やソフトに御登場願っても以下同文…。 (^^;) マクロで倍精度変数を使えば多少マシにはなりますが, 逆にいえば「多少マシになる」程度で使い物とならない点に変わりはありません。
ともあれ計算できないものは仕方がありませんので, 「スプレッドシートがダメならプログラム関数電卓しかない」と早速御登場願おうとしたのですが, そういえば ここ最近使っていなかったせいで手元にあるのは普通の電卓のみでした。 「さて どうしたものか」と考えていたところ思いだしたのが iOS 用の電卓アプリ。 プログラミング機能付きの関数電卓を始めとして中にはポケコンをエミュレートしたものまで揃っています。 問題は 64 ビット版 OS に対応していないアプリの多いことですが, 中には使えるものもあるはずです。
というわけで検索してみたところ, 個人的に最強クラスと思えるアプリが見つかりました。 それは「FX-602P Sim。」 名前のとおり CASIO の名機 FX-602P をエミュレートしたものです。 ほかにも HP-42S をエミュレートした「Free 42」など, HP の RPN 電卓を再現したものが沢山あって, そちらも相当良さそうだったのですが, ここは使い慣れた FX-602P と同じノリで使える "FX-602P Sim" を選択することにします。 世間一般レベルでは HP 系を選択する方も多いことでしょう。 何しろ HP-42S 辺りは世界レベルな有名プログラム電卓ですから…。
さて, 件の "FX-602P Sim" ですが, 360 円と有料なものの関数電卓である FX-602P を再現しただけあって, 有効桁数 7 桁程度の浮動小数点演算を ちょっとやそっと行わせた程度で計算間違いが生じるはずもなく, 件の計算はサクッと終了しました。 めでたし,めでたし…となる筈だったのですが, ここで悪い癖といいますか必然的にといいますか, プログラムのステップ数を縮めようと思い立ったのが地獄の始まりだったのです。 (笑)
今回の計算では小数の一定の桁 (例えば小数第 3 位と 4 位の2 桁のみとか。) を得るために整数化を行う INT() 関数を使っていたわけですが, この手の計算では小数化の FRAC() 関数を使ったほうがステップ数は少なくて済みます。 なので, 早速そちらを使うようプログラムを修正…したところまでは良かったのですが, 何故か頻繁に おかしな計算結果を表示するようになってしまいました。
計算がバグっているのは FRAC() 関数です:
クリックすると動画を得られますが, 件の画像は「FRAC(2.07×100)」を計算させたものです。 本来であれば 0 を得られるはずですが, 見てのとおり 1 という有り得ない結果になっています。 ちなみに「FRAC(207)」だと正しく 0 が得られますので, 上述したスプレッドシートと似たような事態に陥っていると推測できます。 そして困ったことに この「余計に 1 が加算される」現象は頻繁に発生するのでした。 (^^;) あ, 当然ですが前者であれば, 実際には「2.07×100= FRAC」といった手順で計算させていますよ, 念のため。
さらに, やはりといいますか元々の INT() 関数でも頻度は格段に下がるものの演算がバグるケースは発生するようです。 となれば, 今回大丈夫だった計算も回数が増えればバグに遭遇するのかもしれません。 時限爆弾を抱えているようなもので, これでは使い続けるのは辛そうです。
というわけで, 11 月中旬に買ったのが fx-5800P です:
昨今はグラフ描画だ何だと機能てんこ盛りで, 必然的に電卓自体も大きく重くなっていますから, 2006 年発売という大分前の機種ではありますが, 手頃なプログラム電卓を求めて この機種選択に至っています。 若干プレミアム価格のきらいもありましたが, さして高いわけでもありませんので特に影響はありません。
さて, 実機に御登場願った以上, 今度こそ計算間違いが生じるはずもなく, 試しに行った上述の計算は普通に終わったわけですが, この CASIO BASIC…どうにかならないものでしょうか? IF 文を始めとした構造化方面のコマンドが追加されているものの相変わらずなコードで, 慣れない方だと さっと眺めたくらいでは何が書いてあるのか さっぱり解らないレベルです。 しかも, CASIO BASIC が搭載されるようになってから 20 年以上経つというのに, 未だに英大文字しか表示できない体たらくです。
ちなみに, PC でプログラムを入力してロードすると小文字表示は可能だったりするのですが, そこまでする必要はありませんし, それでは携帯用の意味がなくなってしまいます。 職場の PC へ繋げられるはずもありませんし。 (^^;) …と, 相変わらずの CASIO BASIC には少々文句を言いたくなりますが, それを除けば十分に良い関数電卓で, だからこそ未だに あちこちで取り扱われ続け, 今回私も手を出しているわけなのでした。
この電卓の一つのウリは代数的入出力で, 例えばマチンの公式で円周率を計算させると普通は左画像のようになりますが, 代数自然表示を有効にすると右画像のように分数や指数・累乗根などが代数的に表示され, 計算結果も数値ではなく「π」と表示されるようになるのでした。 2000 年代の電卓なので, 定数や公式, 行列計算などの機能も盛りだくさんに組み込まれています。 ないのはグラフ機能くらいでしょう。 ちなみにカタログスペックでは 407 関数 128 公式と謳われています。 ユーザー容量も 28500 バイトありますので, プログラムは組み放題です。 といいますか, ポケコンと違って関数電卓では 10KB を超えるてくると, もはや容量は どうでも良いです。 (笑)
続いては fx-CG50 です:
上述したとおり職場で fx-5800P を使うようになったのですが, 先日 Twitter の TL で「関数電卓で Python が使える」というネタを見掛けて今月 5 日に墜ちてしまい 7 日に届いたのが, この fx-CG50 です。 (笑) CASIO の現行プログラム電卓で間違いなく最高峰組に入る 1 台で, もはや どれだけの機能があるか分からないレベルです。 ちなみに, ユーザー容量は 60KB くらいあるので, もはや使い切れません。 (^^;)
この電卓のウリは間違いなくハイカラー TFT 液晶を擁したグラフ機能でしょう。 それは代数自然表示にも活かされていて, 左画像を見て判るように先のマチンの公式による円周率の計算が一層広く自然に表示されているのでした。 しかし, ここで重大な問題が…それは計算結果である π の表示です。
何のことはなく "3.141592654" と 10 桁に丸められて表示されていて「計算を間違っている」といった状況に陥っているわけではないのですが, 自然表示モードなので本来であれば "π" と表示されるはずなのです。 実際 π を呼び出すと "π" が表示されます。 つまり先の計算結果が「π を計算させたのに π になっていない」…要は計算誤差が かなり大きいわけなのでした。 上の fx-5800P (右画像) では ちゃんと π 表示になっているにもかかわらずです。
この「fx-5800P より浮動小数点演算がアホ」という事実に落胆してしまい, もはや Python がどうとか, どうでも良くなってしまいました。 思わず「笑ってゴミ箱」しようとしたくらいです。 (笑) それはともかく, 完全なバグは見当たらないとはいえ, この計算誤差を素とするバグもどきな現象は, 30 年前の機種だろうが最新の機種だろうが同じように発生するようです。 (^^;)
余談ですが, この fx-CG50 は とっても大きくて重いです。 ただでさえ重いのに さらに単四電池が 4 本とか, 「もはや据え置き用なのでは?」と思わせるくらいです。 その大きさは…右上画像を見てお判りのように, ポケコンの中でも大きい部類に入る PC-E500 と変わらないくらいです。 いえ, 長さは一回り短いのですが, 問題点は そこではありませんので…。 (^^;)
あ, そうそう。 fx-CG50 で もう一つ許せない点…それは「マニュアルが付属しない」ことです。 どんなに安いものだろうと関数電卓には大抵マニュアルが付属しているのに, この機能てんこ盛りな…しかも起動して最初に表示されるのが「訳の分からないメニュー」で, ユーザーによっては単に計算させるだけの画面へすら到達できなくなりそうな電卓なのにもかかわらず, マニュアルが付属していないのです。 これは "fx-CG50-N" だからなのかもしれませんが, はっきり言って「考えられない所業」ですね。 (--;;
ここからは, 現在生き残っている関数電卓の中から, 手元にあるなど「さっと発掘可能だったもの」を中心として, 買った年代が新しいものから順に何台か紹介したいと思います。
まずは fx-992s です:
1996 年発売のモデルで 97 年に購入した非プログラミング電卓です。 それまでにも数多くの関数電卓を買ってきたわけですが, この頃プログラミング機能を あまり使わなくなってきたのと, ソーラータイプで電池交換の煩わしさから逃れられるのが理由で買っています。 あと, 関数電卓には なぜか 10 桁しか表示できないものが多いのですが, この電卓は 12 桁と普通の計算に使える辺りも選択理由になっています。 たった 2 桁多いだけなのですが, その 2 桁が重要なのです。 (^^;)
あ, ソーラータイプと言いつつも「TWO WAY POWER」なので, 電池交換の煩わしさから完全に逃れられるわけではありません。 が, 電池のみの機種に比べれば考える必要がないくらいには長持ちしますので…。 さすがに 20 年以上保つはずもなく, 先ほど開腹したところ電池がヤバイことになっていましたので, この原稿を書いている現在発注中です。 (笑) それはともかく, 反対に「光のないところで使えないのは困る」というわけで, 電池でも使える機種を選定しているのでした。
この電卓は科学定数と複素数演算がウリなのですが, 普段使い用だけあって, 自身が使う分には対数や三角関数くらいが関の山でしたので, ウリの機能を使うことは殆どありませんでした。 (^^;) そういった意味では もっと下位グレードの機種でも良かったのかもしれませんが, まあ「大は小を兼ねる」とも言いますし, 別段高いわけでもありませんでしたから, 高機能組を買って損はなかったと思います。
お次は FX-603P です:
1990 年に発売された, CASIO の名機 FX-602P の後継機で, 91 年に FA-6 (インターフェイス) とセットで購入しています。 要は下で説明する FX-602P が忘れられなくて, 後年「きゃぁ~, こんなのが出てる~っ!!」と飛びついたわけです。 (笑) 実は職場に出入りしていた文具等総合卸の業者から直接個人発注で買ったのですが, それが功を奏していた可能性はあります。 何しろ数がなく普通の文具店や家電量販店等には出回っていない代物ですから。 あ, 卸を使えたのは, 自身が遡ること数年前に総務関係の部署にいて, 業者の方と顔が繋がっていたからです。 (^^;) ちなみに, 感熱式プリンターの FP-40 は既に持っていました。 (PB-1000C + MD-100 + FP-40 で 88 年に購入。)
この電卓は基本的に FX-602P と変わりがありません。 そして, それが絶大なウリになっています。 とはいうものの「そのまま」では仕方がありませんので, LCD 表示が 2 行になっていたりユーザー容量が 6144 steps と広大になっていたり, そこからの帰着として P0~P19 と FX-602P の倍のプログラムを組めたり…といった拡張が行われています。 当然動作速度も上がっています。 反対に音楽演奏を行えなくなったのが少々残念ではあります…。 いえ, 実用上は何も問題ないわけですけれど。 (^^;)
fx-4000P など 1985 年の段階で所謂 CASIO BASIC のプログラミング電卓は登場しているのですが, この電卓は その前の FX-602P…どころか さらに前の FX-502P の直系…というわけで, よりキー操作そのものと言えそうな言語形態となっています。 しかし, それが逆に「全てのメモリーに対して Min, MR, M+ 等が可能」など良い方向へ働いてもいて, 後年の電卓よりも むしろ効率的なコードを書いたりすることが可能となっています。 …判読性は悪いですけれどね。 (笑)
あと, 個人的に重要な点として「本体のみの入力で英小文字を表示可能」があります。 ええ, 30年以上前の fx-4000P から最新の fx-CG50 まで, CASIO BASIC 搭載機は その (ほぼ) ことごとくが英大文字表示のみなのです。 「PC 上で入力すれば可能」だとかよく言われたりもしますが, そんなのは「不可能」と同義です。 …といったような理由から, fx-CG50 辺りまでの中では, 未だに この FX-603P…といいますか, FX-501P からのシリーズ一連が最強だと思っています。
続いては SHARP の EL-9000 です:
1987 年に発売された電卓で, それまで CASIO の関数電卓を いくつか買っていましたが, SHARP 製は持っていなかったことから, CASIO とは毛色の異なる (電卓の) プログラム言語を求めて, その 87 年に購入しています。 見てのとおりカバー裏のシートキーボードが特徴となっていて, 当時の電子手帳と同じノリになっています。 CPU も それらや PC-1250 系のポケコンと同じ ESR-H (SC61860) ですし…。
この電卓のウリは, 当時としては まだまだ極少数派だったグラフ表示機能です。 とはいえ 16 桁 4 行 (96×32 ピクセル) という狭い画面でのグラフ表示は やっぱり辛く, 「とにもかくにも その機能を用意しましたっ!!」といった感は否めません。 もちろん その意味は大きいですし, 16 桁 4 行の表示も当時としては特筆できるレベルで十分広かったわけですけれど…。 ユーザー容量も 5120 steps と広大になっています。
結果論ですが, シートキーボードの使いづらさとプログラム言語が肌に合わなかったのとが大いに影響して, 殆ど使われず終いとなってしまっています。 あまり CASIO BASIC と変わらなかったので落胆してしまったのですよね。 (笑) いえ, 何しろ「ポケコンの SHARP」ですから, もう少し BASIC 的なものを期待していたのですよ。 実際電子手帳の関数電卓カードは BASIC で組めましたから。 CPU も同じで中身もポケコンと同じ…それで どうして別物のプログラミング言語もどきなコードを書かされるのか…と。 (^^;)
ここで, ちょっと脱線して各電卓の大きさ比較など:
比較対象として iPhone 8 も並べてありますが, 見てのとおり EL-9000 が (シート部分を除けば) 一番小さく幅が若干広いくらいで iPhone 8 と同じ大きさとなっています。 そこから若干幅・長さ共に大きくなっているのが fx-992s で, FX-603P が そこから縦長に…。 そして, fx-CG50 は別次元の巨大さとなっています。 (笑) あ, 入れ忘れた fx-5800P は FX-603P と fx-CG50 の間に入ります。 うむ, 意外と FX-603P が大きいですね。 もっと小さいイメージだったのですけれど…。 もっとも, fx-992s に対してインターフェイス部分の分だけ長いだけですから, fx-CG50 以外は殆ど同じなのかもしれませんね。
反対に これまた意外だったのが fx-5800P で, 幅こそ FX-603P と ほぼ同じか僅かに広い程度に収まっているものの, 長さは fx-992s との差と同程度を さらに FX-603P に加えた長さ…と, 相当大型の部類に入ってしまいます。 使っていて そのようなイメージが湧かないということは, すっかり大型電卓になれてしまったのでしょうね。 あ, この秋から iPhone XS を使い始めたのも影響していそうです。 もっとも, その XS 自体は fx-992s と全く同じ大きさだったりしますけれど…。
続いては, fx-4000P です。 あ, ここからは発掘できなかったり手元に残っていなかったりといった面々なので, 巷の画像を使っています:
1985 年に発売された電卓で, どこかに埋もれて発掘できなかった本体に対して, なぜか保証書を兼ねたマニュアルは本棚に鎮座していて, 大昔に買った中では珍しく その日時が完璧に判明しています。 発売と同じ 85 年の 7 月 27 日です。 「大和」と ありますから, 香林坊へ移転する前の片町店だった頃ですね。 そのあと うつのみや片町店 (と その裏のミューズイン (同店の楽器・楽譜売り場)) でも, 言語学関連書籍と文具 (ファンシー系売り場), そしてマーラーのミニチュアスコアへ +30k ほど散在しているはずです。 (^^;)
FX-602P の貸し出しは高 2 の頃に終了していて, その頃には興味の対象がポケコン (やパソコン) へ移っていたのですが, やはり FX-602P の魅力は如何ともし難く「何か代わりになるものはないかしら?」と買ったのが この電卓です。 …が, 代わりにはなりませんでした。 その唯一最大の要因は…「CASIO BASIC」…そう, 当時すでに CASIO BASIC 搭載機が登場していたのです。
とはいえ最初期のものですから, 後年登場した構造化制御文の類いも存在せず, 要は CASIO BASIC と FX-602P の言語とのハイブリッドとも中間とも言えそうな, ある意味中途半端な言語でした。 そして, その辺りが さらに絶望する事態を招いていたのです。 (^^;) あ, ユーザー容量は 550 steps と これまた FX-602P に近いものとなっています。 そして, 「何かないものか」と このあと SHARP や CANON の電卓へも走ることとなるのでした。 (笑)
この頃は まだアルミニウム (カバー) 筐体が健在で, ある意味現行の機種よりも高級感が漂っています。 しかし, 領域は狭まっている模様。 (^^;)
次は FX-602P です。 自身で買ったものではありませんが, 関数電卓とポケコンへ (完全に) ハマるきっかけとなったものですので, 例外として挙げざるを得ません。 (^^;):
1981 年に CASIO から発売されたプログラム電卓の名機で, 高校 1 年当時のクラスメイトから半年以上の長期貸し出しを受けていました。 彼からは PC-1500 も長期貸し出しを受けており, それが自身の PC-1211 (6 月) や PC-1251 (9 月) 購入を始めとしてポケコン, 電子手帳, パソコン…といった各種デバイスの道へと堕ちる結果に繋がっています。 言ってしまえば UNLHA32.DLL や LHMelt が世に出ているのも その延長です。 (笑)
上で説明した FX-603P が この FX-602P との互換性を至上命題としていたこともあって, 基本的な仕様は殆ど同じです。 簡単に纏めてしまえば LCD 表示は 1 行でユーザー容量が 512 steps だったりする程度ですね。 もちろん動作速度も時代が遡る分低いですけれども…。 (^^;) FX-603P の項でも書きましたが, こと計算機に計算させるのは, このシリーズのプログラム言語が一番組みやすいです。
次の fx-3600P 辺りも そうなのですが, この頃のモデルは何気に筐体がアルミニウムカバーで高級だったりします。 もっとも筐体自体がアルミニウムなのではなくて, 「カバー」の名のとおり樹脂筐体を覆っているわけですけれども…。 なので上で説明した FX-603P のほうが却って安物っぽく見えたりするのでした。 あ~, そういえば SHARP 製を含めたポケコン辺りも同じですね。 (^^;)
最後は fx-3600P です:
FX-602P と同じ 1981 年に発売された電卓で同じ年の 12 月に買っています。 これが…これこそが, その後の全てへと堕ちるきっかけとなった元凶です。 たった 38 steps ながらプログラムを組めたのと代数式定義による数値積分計算を出来たのが悪いのです。 (笑) それを言ったら, さらなる元凶は計算尺ですけれど…。 部室の隣にあった数学準備室代わりの空き教室に (その昔に) 授業で使っていたらしい計算尺が大量に転がっていて, それで興味を覚えてしまい, 自身で 8k だとか 15k だとかの計算尺を買うまでに堕ちていましたから。 ええ, 下手な関数電卓 (81 年当時で 5k とか。) より よほど計算尺のほうが高価でした。 (^^;)
38 steps しかないので P1 と P2 の 2 つしかプログラムを組めません。 が, それで十分だった覚えがあります。 それでも もう一方のプログラムをサブルーチンとして呼べるようになっていたりして, FX-602P 辺りと比べても意外と遜色なく組めた覚えがあります。 もちろん, 容量の無さだけは如何ともし難く, それが他の電卓へ堕ちることに繋がったわけですけれども。
続いては, 「そのまま関数電卓的に使えた」ということで生き残っているポケコンなぞ。 PC-E500 です:
電源が入っていないのは, 本体メモリー及びメモリーカード用の電池が共に切れてしまっているからです。 (笑) 本体は単四と簡単に手に入るのですが, メモリー組が CR2016 と CR1616 とか若干手に入れづらい面々なので…。 CR2032 や CR2025 なら手元にあったのですけれど。 (^^;)
1988 年に発売された SHARP ポケコン最後の末裔組と言えるシリーズで, 自身は 89 年にポケコンの集大成として買っています。 それまでの ESR-H (SC61860) とは大きく構成の異なった ESR-L (SC62015) へ CPU が変更されたのに伴い, 動作速度が大きく向上しています。 240x36 の画面や高機能な BASIC, 各種機能の付加に周辺機器と, 正しく集大成と言えそうな機種でした。 前年の 88 年に PC-1280 を買っていて, その時点で 2.5" ポケットディスクやプリンターなど, PC-E500 でも使える周辺機器が (購入して) 揃っていたことから, 最初から快適に使えた覚えがあります。
本体の 32KB メモリーに 32KB のメモリーカードを追加し 64KB と広大なユーザー空間を得られていたことから, お遊びで上でも登場した 4 * (4 * ATAN(1 / 5) - ATAN(1 / 239)) の公式 (の級数展開したもの。) をマシン語で書いて円周率を計算させたりもしました。 10 万桁で都合 5 時間でしたが, そのうち 4 時間は CE-126P による印字が占めていたという…。(笑) この ESR-L は DB-Z から PI シリーズの ZAURUS といった電子手帳でも使われていて, それらに挿して使う「ハイパー関数 BASIC カード」では, 殆ど同じ感じで BASIC やマシン語が使え さらに漢字表示も可能と, 「3 倍高速な漢字対応 PC-E500」といった様相を呈していました。
そういえば, このカード自体は本棚で鎮座しているのに, 肝心の それを挿して使う DB-Z2 等が どこかへ行ってしまっていますね。 発掘するか中古で手に入れ直さないと…。 (^^;)
Aug.13,2020 部分追記
基板が半分死んでいるせいで大抵キーの利かない この PC-E500。 「キーが利かない=初期設定すら行えない」ことから, ここ 1 年ほど使用不可状態に陥っていたのですが, 数日前に試してみたところ運良く使えました。 (笑)
ポケコンではありますが, ハンドヘルド機に近い BASIC を搭載していて倍精度も扱えますので, 下手な関数電卓より便利に使えます。 もっとも計算するだけなら計算機モードを使ったほうが簡単ですけれどね。
次はハンドヘルドの X-07 です:
CANON が 1983 年に発売したハンドヘルドコンピューターで 87 年に買っています。 当時 HC-20 を とっても買いたかったのですが, 比較的高額だったことから代わりで こちらを購入することに。 ですが, X-710 カラープロッタプリンターも追加していたりしますので, 結果論としては HC-20 を買えたことになりますね。 (笑) CPU が Z80 とソフトウェア互換である NSC800 だったり, ハンドヘルド用 BASIC で CIRCLE 命令が使えたり, オプションで赤外線カプラーが用意されていたりと, 結構特徴のあるマシンでした。 後年なら PC-E500 辺りでも これらの命令を使えるわけですが, 80 年代前半で使えるハンドヘルドやポケコンは非常に珍しかったのです。
X-710 が仕様欠陥品だった (線を 10 本も引くと電池が無くなる。 本体・電池を換えても効果無し。 しかも給電は常にバッテリーから。) ために本体まで使われなくなったという経緯があって, プロッターは速攻で「笑ってゴミ箱」されましたが, 本体は今でも元気に稼働しています。 しかし, インターフェースを手に入れ損ねましたので, プログラムを保存しようがないのでした。 この辺りも, 使われなかった大きな要因。
NEC の PC-8201 と同じく (ソフトウェア的に) デスクトップパソコンと同じレベルの内容をハンドヘルドに組み込んだ製品…というわけで, 当時の BASIC を懐かしむ意味で手元に残っている感があります。 (^^;)
おまけで MI-E1 と iPhone 8 を並べてみました:
見てのとおり似たような大きさとなっています。 カレンダーと それに連動したスケジュール, アラーム, チェックリスト, そしてアドレス帳といった一部の機能については, 現行の iPhone や Android スマートフォンを未だに凌駕していたりします。 DB-Z の頃には そうでしたから, 25 年以上経って未だに追いついていないとか, iPhone にしろ Android にしろ「どうなの?」と元電子手帳使いとしては思ってしまうのでした。 そういった方面では, スケジュールとアドレス機能の付いた当時の薄型カードサイズ電卓のほうがマシかもしれません。 (笑)
…というわけで, この関数電卓ネタはまだ続きます。 (笑)
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